終了【1/16(水)】第109回 わだい浪切サロン「1回で採血お願いします!~ベテラン看護師の暗黙知の可視化と教育支援~」
公開日 2018年09月09日
今回の講演では、看護職教育において必要な看護技術の習得を支援するためのICT教育についてお話します。実は看護師の評価は、この技術の良し悪しで判断されることが多いのです。そのため、看護技術を習熟させる学習支援が求められています。特に注射は,身体に針を刺し薬液を注入するという「痛み」を伴うので、上手な人にしてもらいたい技術の一つです。本講演では、この注射技術を取り上げ、看護師や看護学生の考える「コツ」のとらえ方の違いや手順の間違いなどを分析し、自己学習で看護技術の習得ができるような学習支援システムについて紹介します.。
参加無料
申込み不要
日時:2019年1月16日(水)19:00~20:30
場所:岸和田市立浪切ホール1階多目的ホール
話題提供者:真嶋 由貴惠 氏
(大阪府立大学 大学院 人間社会システム科学研究科 現代システム科学専攻 教授)
(概 要)
「和歌山大学?大阪府立大学連携特別講座」として、大阪府立大学 大学院 人間社会システム科学研究科の真嶋教授に講演いただいた。
真嶋教授は、保健師?看護師として臨床の現場で超過勤務をされた経験から「看護師がもっと効率よく働けて、自身が目指す看護はできないものか?」と考えたことで、看護情報学?看護教育工学?eラーニングの研究に至ったとの経歴の説明があった。
「さて、採血?注射が好きな人?」との質問に、※ⅰクリッカーを使い参加者の回答を即座に集計され、まさにアクティブラーニングで参加者とのコミュニケーションを図られた。
注射や採血は患者さんにとって、不安や苦痛を伴いがち。それを行う看護師の技術がそれを大きく左右する。では看護師の技術の上手?下手の違いは何か。熟練者の技を伝承する方策はあるのか。いわゆる“技”(熟達した手技)は言語化が難しい“暗黙知”である。
対象にとってよりよい看護ケア(Nursing Art)を提供できる看護師を育成するために、どのような教育を行えば効果的か。看護師の離職率、理由やその背景から、教育と臨床の課題を考えられた。
開発には、看護師と看護学生の技術を分析し、個人が持つ“コツ“を強化する教育システムの構築が必要と考えられ、“コツ”や手順の違いを分析し、看護技術をeラーニングの自己学習で習得させる学習支援システムを研究開発された。知的学習と身体的学習を支援できる看護技術学習支援システムの開発に至り“技”の可視化を可能にされた。
最後に、「技術は常に使わないと衰える。技術を維持するには常に使うことが必要である。
多くの視点を持つひらめきが重要である。」と結ばれた。
(参加者32名)
(アンケートより)
- 今、まさに看護技術を教える立場の者です。今日の学びを参考に技術演習を考えていきたいと思います。(50代:女性)
- 看護技術のスキル化という新しい方向を知ることができて面白かった。(70代:男性)
- 「技」があれば本当に助かるなと思いました。真嶋先生のように研究されている方がいてくれて、ありがたいです。(女性)
- 採血を1回で!という難しい課題興味のある課題を提供して頂き有難うございます。可視化の難しさ、有効性を確かめられました。これからも研究を続けて頂けるようお願いしたいと思います。(60代:女性)
- 日頃の仕事、家事、生活の中で“暗黙知”の事がたくさんあるが、客観的に見たり、視点があまり意識してなかったなぁと。特に仕事に関し。部下や新人育成が大事になってくる中、具体的に数値化、言語化する事が大事だなぁと思いました。(女性)
- 自分自身が3週間毎に採血点滴をしているので大変為になりました。ただ、今までは無意識に看護師の方を信頼し、まかせていましたが、逆に少し怖くなりました。(60代:男性)
- データで見ると言語化できないものも、知識としてはとりいれることができるので良いとおもった。(10代:女性)
- ただ、「技術はやらないとできなくなっていく」というまとめは明解で解りやすかったです。折角アンケート機器を備えていたのでアンケートをもっと取って頂ければよかったのにと思いました。(40代:男性)
- 看護師とは全く異なる職についているが、参考になる部分が多かった。様々な分野の知識をもっと学びたいと感じた。また、努力したくても努力の方法が分からない人が増えている。そんな中、自己学習しやすい学習支援システムは今後より一層必要になると思います。(30代:男性)
- 全く知る機会のなかった内容だったのでおもしろかったです。こういう研究をみるとAIロボットが採血する時代も近そうだなぁと感じました。(40代:女性)