【開催レポート】【4月17日】第111回わだい浪切サロン「世界遺産と大阪の熊野古道」
公開日 2019年04月05日
世界有数の世界遺産保有国となった日本ですが、そもそも世界遺産とは何なのか?日本の登録資産は本当に価値があるのか?増えすぎたようにも感じる国内の世界遺産について、熊野古道や高野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」を例に解説します。意外なことに、世界遺産に【指定されている部分】以外の熊野古道の大部分は大阪?泉州にあり、その価値は指定された道に劣りません。中世に由来をもち、身近な町並みに残る街道の記憶を豊富な写真と共にご紹介します。
【日時】4月17日(水) 19時~20時30分
【会場】岸和田市立浪切ホール1F 多目的ホール
【参加申込】不要
【費用】無料
【問合先】和歌山大学 岸和田サテライト
電話 072-433-0875
【概要】
2019年度初のわだい浪切サロンは、和歌山県世界遺産マスターである児嶋啓輔氏に講演いただいた。
世界遺産とは何か、世界遺産のはじまりから変遷、日本の世界遺産、世界遺産に指定されていない大阪?泉州の熊野古道「紀伊路」について話された。
世界遺産のはじまりは1960年代のエジプトにあり、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)によるヌビア遺跡群の救済キャンペーンがきっかけである。
日本は1992年に世界遺産条約に批准し、その後30年弱で世界12位の世界遺産保有国となっている。
「自然と人間の営みによって形成された景観」という『文化的景観』の考え方により、世界遺産は増加。山や樹木なども「霊山」や「神木」として特別な価値が与えられると『文化的景観』として認められ、日本で初めて文化的景観が評価された世界遺産は『紀伊山地の霊場と参詣道』である。
一目で価値が理解されやすい姫路城や屋久島に比べ、文化的景観である『紀伊山地の霊場と参詣道』は和歌山、奈良、三重県にまたがるなど一見するだけではわかりにくい世界遺産である。評価のポイントとしては、険しく山深いと同時に広範囲におよぶエリア、異なる宗教が一つのエリアに同居していること、海外の方からは理解されにくい日本の精神世界などが挙げられた。児嶋先生から参加者に向けて、初詣は神社へ行くか?お寺へ行くか?クリスマスにケーキを食べたことがあるか?などの問いかけがあった。参加者も手を挙げながら笑ったり「あるなぁ」と頷かれたりしていた。
熊野三山、高野山、吉野?大峯の3つの聖地を結ぶ表詣道が世界遺産として登録されたのは世界初である。繋がっていてこその道ということで、最後に大阪の熊野古道「紀伊路」の紹介があった。豊富な写真で説明され、また併せてご当地グルメの話もされた。
児嶋先生は高野山を歩いて登ることがあるそうで、『歩いたからこそみえる景色がある』『世界遺産には見るだけではわからない、理解してこそ価値がわかるものがある』という言葉が印象的であった。
今回は熊野古道をはじめ、世界遺産の新しい楽しみ方を学んだ。
参加者は、児嶋先生のお話しに頷いたり、笑ったりと聴き入っているように見受けられた。
?☆今回の参加者数は43名でした。
【参加者の声(アンケートより)】
- すごくわかりやすく身近に感じた。
- 世界遺産に興味があったから良かった。
- 知らなかったことが知れた。
- 紀伊山地に3つの宗教があるが、共存しているのが外国から見ればすごいことなのかと思いました。
- 熊野古道は自分の生活とは全く関係のないものだと思っていました。しかし、自らが良く知り、生活をしている大阪からつながっていることが良くわかりました。世界遺産の素晴らしさを実感しました。
- 日頃何気なく通った道が熊野古道の一部だったと知りワクワクした。
- 世界遺産の定義や評価基準の解説がよかった。大阪の「街道」として、写真で巡った大阪の熊野街道がよかった。
- 大阪の熊野古道についてもっと知りたいと思いました。自分でも調べてみます。
- 熊野古道の見方が違う角度で認識でき興味深かった。
- 大阪の熊野古道よく知っています。このように紹介していただいてとてもうれしいです。新しい切口新鮮です。
- 大阪の熊野古道の紹介で、知らないうちに歩いたところがでてきて新たな発見ができて非常に良かった。
- 久しぶりの参加でした。家の近くが旧熊野街道跡と知り、熊野古道が身近なものになりました。
- 熊野への道は地元でもあるので、身近にある歴史の一頁として楽しめました。