終了【3/16(水)】第80回わだい浪切サロン「ワイドショーより面白い幕末明治の浮世絵」
公開日 2016年03月02日
日 時 : 2016年3月16日(水) 午後7時~8時半
話題提供: 管原 真弓 (「教養の森」センター准教授)
場 所 : 岸和田市立浪切ホール 1階 多目的ホール
※事前申し込み不要、参加無料
「江戸文化」のイメージが強い浮世絵ですが、実はこれが終焉を迎えるのは、日露戦争(明治37-38年)が終わった時のこと。浮世絵はそもそも「浮世」(=現世)を映し出すものでした。最新流行の風俗を描きとどめた浮世絵は、当初からメディアとしても機能します。そんな性格を持った浮世絵が幕末明治初期に描き出したのは、たとえば突然現れた異人たちや見たこともない洋館や蒸気機関車。新しいメディアである新聞とも奇妙なコラボを果たします。
?現代の三面記事やワイドショーなど遙かに超えた「とんでもないメディア」であった幕末明治初期の浮世絵について、豊富なスライド画像とともにお話します。
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画像?バナーをクリックすると「国立国会図書館デジタルコレクション」に移動します。
「平の建舞」(江戸大地震之絵図)
【解説】安政2年に起こった江戸の大地震の後、世界最高の技術と評価される木版技術を生かして数々の報道がなされました。そのうち、鯰絵(なまずえ)と呼ばれる作品群があり、本図はその一つ。大地震はすべての人々の財産を奪ったけれど、しかしそれで皆「平」等になったと考えればいいよ、という、とてもポジティブなメッセージを伝えます。また、木と紙で出来た江戸の家屋は倒壊するか燃えてしまっているので、建築業はその後、未曽有の好景気を迎えていた、という時代相も映し出します。ちなみに「平」の字を建前しているのは、地震の原因であるナマズたちです。(菅原真弓)
「広報きしわだ」3月号告知もごらんください。
開催レポート?
参加者94名
大勢のお客様で会場は満席となりました。
幕末から明治初期にかけて描かれた浮世絵を中心に、たくさんのスライドを見ながら、そこに込められたメッセージやエピソードをまじえた解説を聞きました。
黒船来航、安政江戸地震、文明開化などを描いた浮世絵や錦絵新聞(現代の写真週刊誌?)が取り上げられましたが、なかでも、安政の大地震後数か月で200~300種刊行されたといわれる鯰絵(なまずえ)は、震災の被害や悲惨さを伝えながらも、「大地震を(おもしろ?おかしく)戯れのめす」精神に満ちており、この時代の人々、特に庶民の明るさとたくましさが伝わってきました。
また、江戸幕府の「ご禁制」の下で描く手段としての見立て?暗喩が取り入れられてきたこと、そして今話題の春画展のことなど、昔と現代のメディアや世相を行き来するひとときとなりました。
-アンケートより-
?何とも面白い講座でした。確かに今のワイドショーより面白いし、何か品がありますね。あっという間の1時間半でした。(60代男性)
?教科書で習ったような浮世絵の話題ではなく、一般庶民の暮らしや災害、流行、考え方を絵によって広く伝えていることがわかりました。(40代男性)
?江戸から明治の浮世絵や錦絵は、今のワイドショーと違って、笑いを誘う、みんなを元気にする、昔の人のパワーを感じました。写真ではなく、絵だからこそ温かみがあると感じました。(30代女性)
?今までになく多数の聴講の方がおられて驚きました。なかなか触れることのないテーマで、先生の深い知識と研究に関心しました。(40代男性)
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■(前回)第79回わだい浪切サロン「憲法判例から見る日本国憲法」 開催レポート
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